ドラマ化した山崎豊子の小説「不毛地帯」に登場する千代田自動車の新車「タイガー1600」のモデルについて。
タイガー1600はスポースカーを思わせる流線型をしたボディーに、初めてミッドシップ・エンジン(車体後部にエンジンを搭載すること)を搭載した乗用車です。排気量は1600ccで、120馬力以上あり、最高時速は時速220km以上です。
開発段階でタイガー1600の極秘資料が社外に流出したため、タイガー1600はアイチ自動車のカロナ(モデルはトヨタ自動車のコロナ)や日新自動車のレッドバード(モデルは日産自動車のブルーバード)に大敗してしまいます。
社運を賭けた新車タイガー1600の失敗により、千代田自動車は独立路線の道が断たれただけでなく、シェア下位の富国自動車(モデルは富士重工業)や五菱自動車(モデルは三菱自動車)との合併も困難となってしまいました。
そして、千代田自動車は近畿商事(モデルは伊藤忠商事)の仲介により、アメリカビック3のフォーク社(モデルはフォード)との提携に向けて動き出します。
タイガー1600(開発コード115)のモデルについて。
1つめの候補は、乗用車で初めてミッドシップ・エンジンを搭載した、いすゞ自動車の「べレットMX1600」です。べレットMX1600は2シーターで、1969年の東京モーターショーへ出品されましたが、販売はされていません。
2つ目の候補は、1968年12月に発売した「クーペ117(ハンドメイド117)」です。クーペ117はコード名「117サルーン」で開発されていました。
しかし、クーペ117の駆動タイプはフロントエンジン・リアドライブ(FR)方式(車体の前にエンジンがあり後輪が駆動する方式)なので条件に一致しません。
調べた結果、タイガー1600の条件と一致する車はありませんでした。おそらく、べレットMX1600やクーペ117などの数車種をモデルにしたものと思われます。
その他のモデルについては、「不毛地帯のモデル一覧」をご覧下さい。
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