建物の壁を塗る職業を左官(さかん)といいますね。ふと、右官(うかん)という職業があるのかが気になったので、調べてみました。
右官という職業は過去には存在していたようですが、複数の説があり、どれが正しいのかは分かりません。有力な説を2つと左官の由来を2つ紹介しておきます。
家を建てるの現場には、棟梁と左官と右官がいました。棟梁は全体の統括(総合責任者)して、左官は土関連の仕事を担当。そして右官は木関連の仕事を担当していました。つまり、右官は大工さんのことです。しかし、棟梁が大工を兼ねるようになり、右官という呼び方は廃れて行きました。
左官には「工」という字が使われています。「工」は、「仕事」「職人」「巧みな技」などの意味があり、左官は土木工事職人のことです。
右官には「口」という字が含まれています。「口」が付くので、右官は事務職のことです。
皇居には官位の無いものは入ることが出来ないので、皇居を改装する際に土壁職人に「官」という位を与えました。だから、皇居に出入りする土壁職人を左官と呼ぶようになりました。
645年、許勢眞壁連(こぜまかべむらじ)の孫・許勢波多哀(こぜはたお)が、天皇の住まいの外郭(がいかく)に美しくて丈夫な土壁を作ったことで、天皇から左官の称号を賜りました。だから、土壁職人を左官と呼ぶようになりました。
日本では、右と左とでは、左の方が地位が高く(上位)なります。左大臣と右大臣なら左大臣の方が位が高いのです。つまり、左官と右官とでは左官の方が位が高いということです。
おそらく、右官が左官よりも下にされるのを嫌がり、右官という呼び方をしなくなっていったという説があります。
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