メキシコの人形島

メキシコの首都メキシコシティー南部にあるソチミルコには、「人形島(The Island of the Dolls)」と呼ばれる呪われた島がる。

かつてソチミルコには「ソチミルカ」とよ呼ばれる先住民が住んでいた。ソチミルカ族は、アステカ帝国時代には生け贄の対象となり、多くの者が生きたまま心臓をえぐり取られた。また、スペイン人の侵略によって惨殺されるという血塗られた歴史を持っていた。

現在、人形島と呼ばれている島は、ソチミルカ族の地図では「死者の集まる場所」として記されている場所で、人形島には今もなおソチミルカ族の怨念が渦巻いているという。

「死者の集まる場所」が「人形島」と呼ばれるようになったのは、1人の男ジュリアン・サンタナが人形島に住み始めてからだった。

ジュリアン・サンタナには、手を触れるだけで病を治すなどの不思議な力があった。その力を気持ち悪がった町の住人は、ジュリアン・サンタナを迫害し、人形島へと追いやったのだった。

そして、ジュリアン・サンタナは残りの50年を人形島で過ごすことになる。

1949年9月のこと。人形島の川で、少女が小舟に乗って遊んでいた。そのうち、少女の1人が転落してしまった。ジュリアン・サンタナは、少女を助けようとしたが、あっという間に少女は川に飲み込まれ、死体はあがらなかった。

数日後の深夜、ジュリアン・サンタナが何かに引き寄せられるように少女が死んだ川へと向かった。すると、川から上がってくる少女を目撃した。しかし、気付けば少女は消えていた。それ以降、ジュリアン・サンタナは人形を集めるようになった。

ブードゥー教では人形を祭って魔除けとする儀式があり、ジュリアン・サンタナは先住民ソチミルカ族の呪いを払うために、人形を吊していった。集めた人形の数は1000体を超えるという。

しかし、ソチミルカ族の呪いから逃れることはできず、ジュリアン・サンタナは2001年4月7日に、少女が死亡した川で死亡した。