従業員が一澤帆布工業を提訴

京都府京都市の老舗かばん店「一澤帆布工業」の従業員ら7人は12月1日、一澤帆布工業を相手取り、未払い賃金の支払いや地位の確認を求めて、京都地裁に提訴しました。

訴状などによると、一澤帆布工業は2009年7月7日に営業を停止して、従業員へ自宅待機を命じていました。自宅待機中は給料の6割しか支給されていなかったとのことです。

従業員らは、一澤帆布工業は黒字経営で休業する合理的な理由はなく、賃金のカットは不当などとして、給料の全額支給を求めました。

また、従業員のうち1名は契約社員で、一方的な雇い止めは無効などと主張して、地位の確認を求めました。
一澤帆布工業では、2001年に先代会長の一澤信夫が死亡。その後、長男・信太郎が2通目の遺言書を基に経営権を主張し、実質的に経営していた三男・信三郎にと対立しました。

長男・信太郎と三男・信三郎の2人は、2通目の遺言書の真贋(しんがん)や一澤帆布工業の経営権を巡り、裁判で争いました。

三男・信三郎は一澤帆布工業の職人を連れて「一澤信三郎帆布」を立ち上げ、一澤帆布工業から独立しました。
2009年6月に三男・信三郎を経営者と認める最高裁の判断が下り、三男・信三郎が一澤帆布工業の経営に復帰しました。
しかし、三男・信三郎は既に「一澤信三郎帆布」を立ち上げていたため、一澤帆布工業は7月7日から休業していました。