噛まれた人間は死ぬ事から、「殺人アリ」と呼ばれるアリ「ファイアーアント」のWikiです。
■ファイアー・アントとは
ファイアーアントとは、南米大陸に生息する体長5ミリ程度の赤いアリの一種で、鋭い牙とお尻の針を持っており、人間を噛む。ファイアーアントに噛まれたると、火を押しつけられたような痛みを感じ、火傷のような水ぶくれができることから、「ファイアー・アント」と名付けられた。
■ファイアーアントの毒
ファイアーアントは、「ピペリジンアルカロイド」というアルカロイド系の神経毒を持っており、ファイアーアントに噛まれた人間は過剰なアレルギー反応「アナフィラキシーショック」を起こして死亡するケースがある。このため、ファイアーアントは別名で「殺人アリ」とも呼ばれる。
■ファイアーアントの生息場所
ファイアーアントは元々、南米大陸に生息していたアリで、1920年ごろにアメリカ南部のアラバマ州モビールで陸揚げされた南米産の果物に紛れ込んで、アメリカに上陸したとされている。
南米大陸に生息するアリは乾燥に弱く、アメリカの環境には対応できないと考えられていたが、驚異の適応能力にょり環境に対応し、アメリカ大陸全土に広がった。
ファイアーアントは雑食で、集団で獲物を襲い、植物から動物までなんでも食べてしまうことや、アメリカには天敵のアリクイが生息していないことなどが、爆発的な増殖に繋がったとされている。
■日本の生息地
日本では、1998年3月に硫黄島でファイアアントの生息が確認している。硫黄島には以前、米軍施設があり、その時に物資に混入してファイアアントが硫黄島に上陸したと考えられている。
1966年にも沖縄の米軍基地でファイアアントが確認されているが、この時は働きアリのみだったため、繁殖することはなかった。
なお、硫黄島は関係者以外立ち入り禁止となっているため、ファイアーアントによる死に至る被害は無い。
■ファイアーアントの特徴と被害
ファイアーアントは、暖かい場所を好み、通り道を確保する特徴がある。このため、通り道に障害物があると、障害物を集団で排除する性質があり、電気系統の配線などが噛みちぎられるなどの被害が発生する。
■ファイアーアントの生態と繁殖能力
一般的なアリは、1匹の女王アリと多くの働きアリによって、1つのコロニーを形成する。働きアリが少ない場合は、組織として機能せず、コロニーは壊滅する。
しかし、ファイアーアントの場合は、女王アリ1匹と働きアリ6匹でコロニーを形成することができるため、働きアリを駆除することにより、コロニーを壊滅させることは難しい。
■進化したファイアーアント
一般的なアリは、1匹の女王アリと複数の働きアリにより、1つのコロニーを形成する1女王制である。
しかし、ファイアーアントは、複数の女王アリと複数の働きアリにより、1つのコロニーを形成する多女王制で、1つのコロニーに複数の女王アリが存在する多女王コロニーを形成する。
このため、多くの女王アリを駆除したとしても、1匹でも女王アリが残っていれば、再びアリが増殖するため、1度出来たファイアーアントのコロニーを壊滅することは難しい。
■ファイアーアントが進化した理由と原因
ファイアーアントの被害に苦しんでいたアメリカは、1957年にファイアーアントを駆除する殺虫剤「マイレックス」を開発し、空中散布を繰り返して、ファイアーアントを根絶やしにしようとした。
ファイアーアントは元々は1女王制だったが、この時の殺虫剤の空中散布により、絶滅の危機にさらされ、多女王制の遺伝子が目覚めて多女王制へと進化したと考えられている。
■ファイアーアントの駆除方法
アメリカではファイアーアント専用の殺虫剤が多く売られているが、ファイアーアントは多女王コロニーを形成するため、一度出来たコロニーを壊滅することは難しい。
■天敵はフォリッドフライ
ファイアーアントには、フォリッドフライというハエの天敵が存在する。フォリッドフライはファイアーアントの頭部に卵を産み付ける習性があり、ファイアーアントを殺していく。
天敵のフォリッドフライを利用すれば、ファイアーアントを根絶やしにすることができるが、フォリッドフライの増殖による生態系の乱れが懸念されており、天敵のフォリッドフライを活用する方法は、現段階では実用化されていない。
■ファイアーアントに噛まれたときの対処法
1・噛まれた場所から毒を絞り出す。
2・毒は水溶性なので、流水で患部を洗う。
3・抗ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモンなどの虫さされ用の軟膏を塗る。薬がない場合は氷で冷やす。
コメントを投稿する
Copyright(C)2012年6月 All Rights Reserved.