日本テレビ系ドラマ「美丘(みおか)」の原作となる石田衣良の小説「美丘」のあらすじとネタバレです。あらすじやネタバレを含んでいるので、知りたくない方は閲覧しないで下さい。
11月のこと。橋本太一は、明知大学の校舎屋上で仲間とたわいない話をしていると、校舎屋上のフェンスを乗り越える女性を発見した。女性の正体は、この物語のヒロインとなる明知大学文学部2年生の峰岸美丘(みねぎし・みおか)である。
自殺志願者だと思った橋本太一はフェンスへ駆け寄って、「やめろ、こんなところで自殺するんなんて迷惑だ」と声を掛けた。しかし、峰岸美丘に自殺の意志は無かった。これが橋本太一と峰岸美丘の出会いである。
橋本太一は明知大学の経済学部2年生で本を人生の一部としている読書好き。校舎の屋上で一緒に居たのは、実家が福島県で造り酒屋をしている北村洋次(きたむら・ようじ)と、女好きでお調子者の笠木邦彦(かさぎ・くにひこ)の2人。
残りの主な登場人物は、表情を顔に出さない「氷の王女」で日本美人の五島麻理(ごとう・まり)、泣き虫の佐々木直美(ささき・なおみ)の2人。いずれも明知大学の学生で、5人はグループを形成しており、橋本太一はグループのリーダー的存在だった。
峰岸美丘との2度目の出会いは明知大学の食堂だった。食事をしていた峰岸美丘は、女5人に取り囲まれていた。トラブルのもとは、峰岸美丘が友達サトミの彼氏・竹内君を寝取ったからだった。
峰岸美丘は気が強く、一度言い出したことは絶対にやる性格で、男性にも女性にもセックスは開放的だった。
峰岸美丘は5人のリーダー格の女とビンタの仕合になると、橋本太一が間に割って入った。サトミが鳴き始めたこともあり、喧嘩は終了した。この事件以来、峰岸美丘は橋本太一のグループに加わるようになった。
年が明け3月になると、橋本太一と五島麻理は交際を開始した。五島麻理は以前から橋本太一に思いを寄せていた。実家がお金持ちで成績も良く、五島麻理は学年でも有数の美人で、誰もがうらやむ女性だった。
ゴールデンウイークに、橋本太一ら6人は、山中湖の近くにある五島麻理の別荘へ旅行することになった。別荘は築10年以上経つログハウスで、泊まるには大掃除をしなければならなかった。
夜になると五島麻理は橋本太一を誘って宴会を抜け出した。2人は浜辺へと歩いた。そして、浜辺で2人はキスをした。2人は肉体関係をもっておらず、これが初めてのキスだった。2人は別々に別荘へ戻ると、2人で抜け出したことがばれており、みんなから冷やかされた。
深夜になり宴会がお開きになると、橋本太一は電話をかけた。相手は五島麻理ではなく、峰岸美丘だった。五島麻理とのキスに違和感がもった橋本太一は、峰岸美丘のことを好きなのだと核心したのだった。
橋本太一は峰岸美丘を浜辺へ連れだして、告白をした。そして、キスをした。五島麻理とのキスとは違い、峰岸美丘とのキスは舌を絡め合う濃厚なキスだった。そして、3角関係が始まった。
雨が降る日のことだった。どちらとも肉体関係を持たない3角関係にピリオドを打った。橋本太一は五島麻理に別れを告げた。五島麻理は最後にセックスしたいと頼んだが、橋本太一は断った。五島麻理は峰岸美丘の元へ行き、ビンタをした。そして、3角関係は終わった。
7月15日、橋本太一はラブホテルへ行き、峰岸美丘と始めてセックスした。セックス後に峰岸美丘は、髪の中に隠れた白い傷跡を見せ、クロイツフェルト・ヤコブ病に感染している可能性があることを告白した。
峰岸美丘は幼稚園の時、交通事故に遭った。頭蓋骨が陥没し、手術した。脳の硬膜を縫い合わせるさい、ドイツ製の乾燥硬膜「ライオデュラ」を移植したため、クロイツフェルト・ヤコブ病に感染している可能性があった。
クロイツフェルト・ヤコブ病とは、10年も20年も潜伏し、一度発症すれば3ヶ月程度で脳がスポンジのように空っぽになって死んでしまう病気で、治療法は無い。セックスでは感染しないとされている。
橋本太一は峰岸美丘の告白を受け入れた。2人は毎日のデート代とホテル代に貯金を使い果たしてしまった。ある日、峰岸美丘は残された時間を橋本太一と一緒に過ごすために同棲したいと言い出した。
大学の卒業や婚約などの条件は付いたが、双方の両親からお金を借りることができた。2人は大学に近い青山に部屋を借りて、8月から同棲生活を開始した。
2人は、アルバイトを始める前に旅へ出た。2人はテントをもって、野外の音楽イベントのレイブパーティーに参加した。峰岸美丘はそこで、「いつか、私が私でなくなったら、太一君のこの手で終わりにして欲しい」と頼んだ。そして、2人は秘密の約束を交わした。「ネタバレ後編」へつづく。
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