山崎豊子の小説「不毛地帯」に登場するイランにあるサルベスタン鉱区のあらすじについて。
サルベスタン鉱区はイラン南部のシラズ空港から200キロの地点にある鉱区で、広さは6000平方キロメートル、山口県ほどの広さです。
サルベスタン鉱区は、イラクのキルクーク大油田から続く地質構造で、10から15の油層が想定され、石油の埋蔵量は2億トンから8億トンと推定されます。
持ち主のコンソーシアムは、開発から3年が経過しても石油を発見できなかったため、返還義務に従って、サルベスタン鉱区を放棄しました。
返還義務とは、開発を進めてから一定期間が経過しても、石油が発見できなかった場合は、鉱区の4分の1ずつを放棄するというルールです。
近畿商事(モデルは伊藤忠商事)は、サルベスタン鉱区が国際入札にかけられることをいち早く察知し、日本石油開発公社(モデルは日本石油開発公団)の吉良総裁から支援の内諾を取り付けました。
ところが、五菱商事(モデルは三菱商事)など財閥系の政治力により、内諾は反故にされたうえ、近畿商事は5社連合の末席に追いやられてしまいます。
このため、近畿商事は5社連合から離れて、インディペンデント系(独立系)のオリオン・オイルと手を組み、サルベスタン鉱区の国際入札に臨みます。
その結果、近畿商事とオリオン・オイルの2社は国際入札で1番札を獲り、石油の採掘にかかります。
そして、5本目の井戸にして、近畿商事は石油を掘り当てることに成功するのでした。
読売新聞の記事によると、サルベスタン鉱区は、3本の井戸を採掘した後、封印されたそうです。
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